2014年05月24日公開 オー!ファーザー

主人公が巻き込まれた、人生最大最悪のピンチ!愛する息子を救うのは…なんと、4 人の親父?!

「ゴールデンスランバー」「重力ピエロ」の伊坂幸太郎原作×主演岡田将生、待望の映画化! 次々に起こる事件!観る者すべてを笑いと感動で包み込む!サスペンスコメディ

伊坂流サスペンスコメディの決定版、映画化!

幅広い読者から圧倒的な支持を受け続ける、日本を代表する人気作家伊坂幸太郎。そんな伊坂ワールドの決定版と 言えるのが、「オー!ファーザー」。50 万部を超える大ベストセラーとなった超人気小説が、いよいよ満を持してスクリーン に登場する!

知事選が過熱している地方都市の高校生、由紀夫はどこにでもいるフツーの高校生。ただひとつ、生まれた時から4 人の父親と同居していることを除けば……。複雑すぎる家庭環境ゆえにそれなりに面倒くさいが、それなりに楽しい毎 日を過ごしてもいた。そんな彼の日常が、にわかにキナ臭い空気に包まれてゆく。同級生の謎の不登校、町のフィクサ ーがハメられたという詐欺事件、そしてフィクサーのカジノでの鞄すり替え現場の目撃。奇妙な心中事件の現場に居合 わせ、家を荒らされるにおよび、由紀夫にとってそれは他人事ではなくなってきた。意を決して行動を起こす彼だったが、 何者かに拉致監禁されて危機一髪! はたして由紀夫の運命は? 4人のオヤジたちは、この非常事態にどう動くの か? そして複雑に絡み合った事件の真相とは?

スリルとユーモア、感動のタペストリーは伊坂作品の醍醐味。張り巡らされた伏線はスリルを醸し出し、一筋縄ではい かないキャラクターがユーモアを生み、最後には、家族の絆が感動を呼び起こす!そんな完璧な物語にふさわしく、精 力的に活動する実力派の俳優たちが集められた。由紀夫役に『悪人』『宇宙兄弟』等でメキメキと頭角を現した人気俳 優、岡田将生。愛情とウザったさがブレンドした家族への思いや、抑えきれない好奇心といった思春期特有の感情がナ イーブな存在感にマッチして、スクリーンに存分に映える。ヒロイン・由紀夫の秘密を知るクラスメイトには忽那汐里。本 作でも、CM・ドラマ・映画などで幅広く活躍する演技派女優のはつらつとした好演が光る。佐野史郎、河原雅彦、宮川 大輔、村上淳という、父親役4人の濃い存在感からも目が離せない。個性はバラバラで、どこかヌケたところはあるが、 特定の分野ではとてつもなく頼りになる4人の父親像はあまりにも魅力的で、“こんな家族も悪くない”と思わせるに十 分だ。一見温厚だが凄むとコワい町のフィクサーを演じた柄本明の妙演も、さすがともいえる存在感を放つ。 生みの親伊坂自身がこの映画化版に”幸せな気持ちになれた”と感想を口にした本作。ついに、 究極の伊坂流サスペンスコメディが誕生した!

■ストーリー

オレの名は由紀夫。フツーの高校生。オヤジが4人いることをのぞけば――。

知事選挙が加熱している、とある地方都市。高校生の由紀夫(岡田将生)は、どこにでもいるフツーの高校生。両親と 自分の“6人家族”であることを除けば……由紀夫には4人の父親がおり、生まれた時からひとつ屋根の下で暮らして いた! その4人とは、博学の大学教授、悟(佐野史郎)、気さくなギャンブラーの鷹(河原雅彦)、関西弁ではっきりとモ ノを言う体育教師の勲(宮川大輔)、そして元ホストのジェントルマン、葵(村上淳)。未婚の頃の母は二股どころか、彼ら と四股をかけており、由紀夫が誰の子かわからないという。4人の父親候補者が“我こそは!”と名乗りを上げ、その結 果、特殊な家庭環境が出来上がった次第。親がやたらと多いのは思春期の少年には面倒だが、賑やかに食卓や麻雀 卓を囲むのはそれなりに楽しくもある。しつこくまとわりつく同級生、多恵子(忽那汐里)がウザったかったり、仲の良い 同級生の不登校が気になったりと、小さい問題はあるものの、由紀夫の生活はとりあえず穏やかだった。あの時までは

……。 事の起こりは街のフィクサーと言うべき富田林(柄本明)のカジノに、鷹に連れられて出かけたこと。富田林は由紀夫

とも顔見知りの一見温厚そうな老人だが、ミスを犯した者は容赦なく消すというキナ臭い噂も。そんな富田林がオレオレ 詐欺にあったというトイレでの噂話も気になったが、それ以上に興味を惹かれたのが、弁護士風情のカジノの客の鞄が すり替えられたこと。好奇心に突き動かされ、由紀夫は鞄をすり替えたニット帽の男を尾けるが、その日は見失ってしま う。さらに家が荒らされたり、富田林の部下に脅されたり、カジノで目撃した女性の心中事件に遭遇したりとジェットコー スターのように事件が続く。一見、点のように思えたそれらが線でつながったとき、由紀夫は行動を起こすが謎の武装 集団に拉致監禁され、どうにもならない状況に追い込まれる。頼みの綱は、誰よりも由紀夫のことを理解している4人の 父親。由紀夫の推理は正しかったのか? 彼の運命は? そして4人の父親がとった行動とは? 奇想天外な救出作 戦が、ここに遂行される!

原作

伊坂幸太郎『オー!ファーザー』(新潮文庫刊)

2006 年から伊坂の地元紙である「河北新報」をはじめとし、いくつかの地方紙に掲載された、伊坂作品初の新聞 連載小説。絶賛相次ぐ中 07 年に連載終了、読者からの圧倒的な期待に応え、10 年に満を持して新潮社より単行 本化、14 年現在 50 万部を超える大ベストセラーに。伊坂自身が“「ゴールデンスランバー」から始まる第 2 期の前 の第 1 期を締めくくる作品”と表現する、第 1 期を代表する集大成的作品である。

伊坂幸太郎/著

1971 年千葉県生れ。東北大学法学部卒業。2000 年「オーデュボンの祈り」(新潮社)で、第 5 回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。2004 年「アヒルと鴨のコインロッカー」(東京創元社)で第 25 回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」(オール讀物)で第57 回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。2008 年「ゴールデンスランバー」(新潮社)で第 5 回本屋大賞と第 21 回山本周五郎賞 を受賞。他の著書に「死神の浮力」(文藝春秋)、「ガソリン生活」(朝日新聞出版)、「残り全部バケーション」(集英社)、「夜の国のクー パー」(東京創元社)、「首折り男のための協奏曲」(新潮社)などがある。

■キャスト /プ ロフィ ール

由紀夫/岡田将生

1989 年 8 月 15 日生まれ、東京都出身。06 年に TVCM でデビュー。07 年、『天然コケッコー』で鮮烈な印象を残し、以降 TV ドラマや映画に次々と出演する。 09 年には、映画初主演作となった『ホノカアボーイ』の他『ハルフウェイ』、伊坂幸太 郎原作の『重力ピエロ』、『僕の初恋をキミに捧ぐ』の演技が高く評価され、第 33 回日本アカデミー賞をはじめ数々の新 人賞を受賞。 翌 10 年には、『告白』『悪人』の演技で新境地を開き、第 34 回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し た。その他の主な出演映画に、『雷桜』(10)、『プリンセストヨトミ』、『アントキノイノチ』(共に 11)、『宇宙兄弟』(12)などがあり、

13 年には『謝罪の王様』、『潔く柔く きよくやわく』に出演、本年は水落豊監督作『偉大なる、しゅららぼん』、『彼女との 上手な別れ方』(2014 年今秋公開予定)で主演を務める。伊坂幸太郎原作作品への出演は、『アヒルと鴨のコインロ ッカー』(07)、『重力ピエロ』(09)に続いて3作目となる。

多恵子/忽那汐里

1992 年 12 月 22 日生まれ、オーストラリア出身。2006 年に「第 11 回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞 を受賞。翌 07 年、TV ドラマ「3 年 B 組金八先生」(TBS)の第 8 シリーズにレギュラー出演し、女優デビューを果たす。そ の後、TV ドラマでは、社会的なブームにもなった大ヒット作「家政婦のミタ」(11/ NTV)などに出演。映画は『守護天 使』(09)のヒロイン役でデビューし、翌 10 年には『半分の月がのぼる空』『ちょんまげぷりん』『BECK』に出演。11 年には

『少女たちの羅針盤』と『マイ・バック・ページ』の演技によってキネマ旬報ベスト・テン新人女優賞に、『マイ・バック・ペー ジ』によって毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞に輝いた。最近の映画出演作に『許されざる者』『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』『ペタル ダンス』(共に 13)など。14 年 1 月からはNHKドラマ 「鼠、江戸を疾る」に出演中。

悟/佐野史郎

1955 年 3 月 4 日生まれ、島根県出身。劇団シェークスピアシアター、劇団状況劇場を経て、86 年に『夢みるように眠り たい』で映画主演デビュー。その後、TVドラマ「ずっとあなたが好きだった」(92)の冬彦さん役で注目を浴びる。『毎日が 夏休み』(94)、『太陽』(06)、『チームバチスタの栄光』、『20 世紀少年<最終章>ぼくらの旗』(共に 09)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11)ほか、本年は『偉大なる、しゅららぼん』(14)に出演。

鷹/河原雅彦

1969 年 7 月 7 日生まれ、福井県出身。演出家・脚本家・俳優・ネオ演芸集団 HIGHLEG JESUS 永久総代。HIGHLEG JESUS 解散以降、舞台演出・出演、映画・ドラマ脚本、雑誌連載などで活動中。06 年の演出舞台シス・カンパニー公演

「父帰る/屋上の狂人」で第 14 回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。11 年には、伊坂幸太郎原作「オーデュボンの祈り」 の舞台に出演。その他主な演出作品に「時計じかけのオレンジ」、「その妹」(共に 11)、「テキサス-TEXAS-」(12)、「八犬伝」(13)、「万獣こわい」(14)、本年度の映画出演作に『大人ドロップ』(14)など、幅広いジャンルで活躍している。

勲/宮川大輔

1972 年 9 月 16 日生まれ、京都市出身。91 年 3 月に星田英利(現・ほっしゃん。)とチュパチャップスを結成。同年より吉 本興業の若手 6 組によるグループ・吉本印天然素材に参加。 99 年にコンビを解散、吉本新喜劇などの舞台に出演し 人気を博す。バラエティ番組「世界の果てまでイッテQ!」、「満天☆青空レストラン」など多数レギュラーを持ち、TVドラ マでも 13 年「お助け屋☆陣八」で主演を務めた。『岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS』(96)で映画デビュー、そ の他の映画出演作に、主演を務めた『さらば愛しの大統領』(10)、『漫才ギャング』(11)など。

葵/村上 淳

1973 年 7 月 23 日生まれ、大阪府出身。93 年、『ぷるぷる 天使的休日』で映画初出演。『ナヴィの恋』(99)、『新・仁義 なき戦い。』、『不定の季節』(共に 00)の 3 作で一躍注目を集め、ヨコハマ映画祭助演男優賞を受賞。近年の主な出演 作は、『ヒミズ』、『莫逆家族 バクギャクファミーリア』、『赤い季節』、『かぞくのくに』、『希望の国』(いずれも 12)、『戦争 と一人の女』、『モンスター』、『100 回泣くこと』(いずれも 13)、14 年には『二つ目の窓』、『さいはてにて』、『チョコリエッ タ』、『シャンティ・デイズ』の公開も控える。

富田林/柄本 明

1948 年 11 月 3 日生まれ、東京都出身。劇団マールイを経て 74 年に自由劇場に入団。ベンガル、綾田俊樹と知り合い、 76 年に劇団東京乾電池を結成。バラエティ番組などに出演して知名度を上げ、79 年に『赤塚不二夫のギャグポルノ! 気分を出してもう一度』で映画初出演。以降は個性的な脇役として注目を浴び、82 年には『男はつらいよ 寅次郎あじさ いの恋』、『道頓堀川』の演技によってブルーリボン賞助演男優賞を受賞。98 年には『カンゾー先生』に主演して、報知 映画賞や日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞に輝いた。その後も北野武監督作『座頭市』(03)で毎日映画コンクー ル男優助演賞、『悪人』(10)で、日本アカデミー、キネマ旬報はじめ多くの映画賞で助演男優賞を受賞、演技派俳優と して高い評価を得る。伊坂幸太郎原作作品としては『ゴールデンスランバー』(10)に出演、最近の映画出演作に『許さ れざる者』、『きいろいゾウ』、『利休にたずねよ』(いずれも 13)、『神様のカルテ2』、『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去な あなあ日常~ 』(共に 14)など。

監督 /脚本

藤井道人

この映画に、僕の持てるだけの全ての愛をぶつけました。

僕がまだ脚本家を志す大学生だった頃、奥山和由プロデューサーと出会い、伊坂幸太郎先生の「オー!ファーザー」が掲 載された新聞を渡されました。映画化を申し込むのに脚本が必要なんだけれど書いてみないかと言われ、頭の中が真っ白に なり、今まで感じたことのない興奮に襲われたのを覚えています。クレジットに載らなくてもいい、いい作品に携わりたい、ただ その一心でしたが、以前から伊坂先生の大ファンだったので、先生の小説を脚本にすることは本当に勇気のいる作業でした。 一番大切にしたのは、原作の世界観を壊さず、しかしただの「要約」にならないようにすることです。

それから数年後、奥山プロデューサーから監督をやってみろと言われた時、再び頭の中が真っ白になりました。「この作品 が最後の作品だ」という気持ちで撮ろうと決めました。伊坂先生には、脚本を改稿するたびに感想を頂き、最後に「楽しみにし ています」と言われたんですが、その言葉が最大の原動力でしたね。

今でも、岡田将生さんに出会わなければ、この映画は完成していなかったと思います。忽那さんは一度映画祭でお会いし ていて、凛とした素敵な方だったので光栄でした。柄本さんと初めてお会いしたのは衣装合わせで、恥ずかしながら緊張がピ ークに達して硬直してしまい、スタッフに笑われました。僕は俗に言う「ムラジュン世代」なので、最初に村上淳さんとお話するときも、とても緊張したのを思い出します。 役作りについては、皆さんそれぞれとクランクイン前にリハーサルをさせていただきました。岡田さんには、「これは、由紀夫の成長記として描きたい」という希望を伝えました。撮影中、苦労は全くなかったです!! と言いたいところですが、全て が初めてで、現場では僕が圧倒的な年下だったので、いろいろなプレッシャーがのしかかって来ました。実際クランクアップし た日に気絶して、病院に行ったら胃潰瘍と言われて……。ただ、そのプレッシャーも苦労も全部が幸せでした。これからの監 督人生で、間違いなく一生忘れることのない時間です。

この映画には、僕の持てるだけの全ての愛をぶつけています。コメディかサスペンスか、家族ドラマか、カテゴライズは難し いですが、楽しく生きている家族を撮りました。多くの人に家族の素晴らしさ、面倒くささ、愛おしさ、いろいろな感情が交わっ て家族なんだよ、というメッセージを残せたら幸いです。

プロフィール

1986 年生まれ。東京都出身。BABEL LABEL所属。大学在学中より映像ディレクターとして活動を開始。2012 年、 長編インディーズ映画『けむりの街の、より善き未来は』を脚本・監督。長編映画『7S』と『幻肢』(島田荘司原作)が 2014 年公開予定。

主題歌

スガ シカオ 「LIFE」(スピードスターレコーズ)

伊坂さん×岡田くんの作品に、楽曲という形でコラボレーションできて、とても光栄です。本編を見る前 からドキドキでした。監督からは『前向きな気持ちになれるような曲を・・・』と言われ、なんとなく作り始め たら、すごく感動的な曲がフツフツと浮かんできました。ただ単に『ガンバレ』的な曲ではなく、色々な感 情や人生、悲しみや喜び、そういう全部を包み込めるような作品が仕上がったと思っています!

プロフィール

1997 年 2 月にシングル「ヒットチャートをかけぬけろ」でメジャーデビュー。日本を代表するファンクミュージシャン。1998 年 1 月にリリースされた SMAP のシングル「夜空ノムコウ」で作詞を担当したことで、多方面から大きな注目を浴びた。2014 年春か らビクター・スピードスターレコーズに移籍、第一弾作品として「LIFE」を本作のために書き下ろした。

プロダクションノート

新聞連載スタート直後に、映画化を熱望した傑作小説

2006 年、すでに高い人気を得ていた小説家の伊坂幸太郎が、「オー!ファーザー」というタイトルで、初めての新聞連 載を開始した。以前から伊坂作品を愛読し、濃密な人間関係の構築の仕方に感服していたプロデューサーの奥山和由 は、4 人の父親と 1 人の息子という設定に目を見張った。結末がどうなるかもわからない、わずか 3、4 回目を読んだだ けで、すっかりこの物語に魅了された奥山は、新聞社を通して伊坂に映画化したいという想いを伝える。

2010 年、単行本として出版される際に、発行元の新潮社から新刊紹介の雑誌への寄稿を依頼された奥山は、熱い 感想と共に「プロデューサーとして、映像のプランは決まっている」と宣言した原稿を書き上げる。と同時に、映画化を正 式に申し込んだ。

“ひとがら”が買われて、脚本を依頼された大学生 映画化権の交渉にあたっては、脚本を用意しなければならない。陽の目を見ない可能性があっても、喜んで書いてくれる人材を探していた奥山は、人づてに日本大学芸術学部始まって以来の“人望のある男”だという学生を紹介される。

会ってみると、人が良くて育ちも良く、明るくて素直で、まさに絵に描いたような好青年だった。彼こそが、のちに本作の 監督を手掛けることになる藤井道人である。藤井は「大好きな伊坂幸太郎さんの小説を、脚本に出来るだけで幸せで す」と、嬉々として第 1 稿を書き上げた。

映画化休止から解禁へ、原作者から託された使命

「申し訳ございませんが、現在映像化は全てお断りしています」──それが、伊坂幸太郎からの返事だった。やむを 得ないと諦めていた矢先、奥山は伊坂と会う機会を得る。伊坂は『GONIN』『タフ』など奥山のプロデュース作品のファン だと語り、同席した藤井に「僕の原作をすごく大事にしてくれている脚本でした」と感想を伝えるが、映画化の話には幕 が下ろされる。

第 2 幕が開けたのは、東日本大震災の後のことだった。奥山は伊坂から直接連絡を受け、「『オー!ファーザー』は、そ ろそろだと思っています」と告げられる。映像化を再開したのは、今小説家が出来ることは、苦痛や悲しみを忘れられる 一瞬を提供することだという想いからだった。彼は奥山に、「ただただ、エンターテイメントにしてもらいたい。条件はそれ だけです」と語る。ピンチの時こそ目の前のことを楽しむことが、生きるエネルギーのマグマとなる──奥山はエンター テイメントの意味をそう解釈した。

運を掴んだ新人監督と、ベストなキャスティング 主人公の由紀夫役は、岡田将生からの「どうしてもやりたい」という強いアプローチを受けて、満場一致で決定した。

演じる役柄を単純に善悪に分けない、人間に対する深い洞察力を持った役者である岡田が由紀夫を演じることに、製作スタッフのモチベーションは上がった。 一方、監督選びは難航した。その時、奥山の頭に閃くものがあった。目の前のことを楽しむというのが作品の核となるテーマだとしたら、生き生きと脚本を執筆していた藤井こそが適任ではないかと。彼は大学を卒業し、ショートショート フィルムフェスティバルに入選するなど、監督として活躍し始めていた。

新人をマウンドに立たせた以上は、バックの力で勝たせなければならない。そのためにはキャストが最重要だが、非 現実的な設定を観客に納得させるには、相当な演技力が必要だ。奥山が全力で奔走した結果、ベストなキャスティング が実現した。

4 人の父親と 1 人の息子の最強のチームワーク 最初は怖くて柄本明らベテランの俳優陣とは口もきけなかったという藤井も、撮影が始まると、自分が掴んだチャンス をひたすら楽しんだ。父親役の 4 人の俳優は、本番中はもちろん、カメラが回っていないところでも絶妙の掛け合いで現 場を笑いに包んだという。そこに岡田が絡み、まさに映画の中の麻雀シーンを地で行く息の合った最強のチームワーク となり、どこから見ても本当の父子が出来上がった。

さらに、観客が感情移入できる等身大のキャラクターとして、多恵子役の忽那汐里が加わり、リアリティのある演技に かけては日本映画界随一の柄本が登場すると、作品の完成度は一気に高まった。一度は撮影が危ぶまれた、クライマ ックスの“危険なアクション”シーンを最後に、かなりハードなスケジュールだった撮影も無事終了した。

どうやって前向きに生きるかを描いた、愛すべき映画

主題歌は、スガ シカオに依頼された。挫折しても前へと進むことを歌う代表曲「Progress」をはじめとする彼の世界観 が、本作をバックアップしてくれるというのがその理由だ。すでに原作を読んでいたスガ シカオはラッシュを見て快諾、 藤井から「前向きな気持ちになれるような曲を」と言われて作り始めるうちに、「すごく感動的な曲がフツフツと浮かんできた」と語る。 完成した作品を見た伊坂は試写室を出るなり、「すごく良かったです。僕は大好きです」と笑った。悲しみや苦しみは百も承知で、どうやって明るい光の方を見て生きるかだけを描き切るという、原作者から与えられた使命を果たした瞬 間だった。

最後に奥山が締めくくる。「映画の中では誰も何も立派なことは言っていないけれど、ひたすら原作と役者さんたちを 大切に想う、かわいげのある監督が作った、愛すべき映画です」。

■ギャラリー

©2014吉本興業

■キャスト 

岡田将生 忽那汐里 佐野史郎 河原雅彦 宮川大輔 村上 淳 賀来賢人 駿河太郎 古村比呂 長江英和 広岡由里子 長原成樹 榊原徹士 奥村知史 内田 慈 橋本マナミ 矢島健一 柄本 明

■スタッフ 

製作総指揮:奥山和由 原作:伊坂幸太郎『オー!ファーザー』(新潮文庫刊) 主題歌:スガ シカオ『LIFE 』(スピードスターレコーズ)

脚本・監督:藤井道人

エグゼクティブプロデューサー:中村直史 プロデューサー:神夏磯 秀 中林千賀子 音楽:森野宣彦 撮影:福本 淳 照明:市川徳充 録音:尾崎 聡 美術:福田 宣 編集:洲﨑千恵子 キャスティング:三宅はるえ 制作宣伝:宇野智美 助監督:山内健嗣 制作担当:天野恵子

企画:チームオクヤマ 企画協力:新潮社 制作プロダクション:よしもとクリエイティブ・エージェンシー 配給 宣伝:ワーナー・ブラザース映画 製作:吉本興業株式会社 Ⓒ2014 吉本興業

2014 年日本映画/上映時間:103 分/ビスタサイズ/リニア PCM 5.1ch/映倫区分:G/配給:ワーナー・ブラザース映画